羊社長です。Claude Codeで経理を回している話の、具体例その4です。
今回は、間違えたら取り返しがつかない領域の話です。
給与計算は、他のミスと質が違います
仕訳を間違えても、決算の前に直せば済みます。給与は違います。
- 相手がいます。本人の生活がかかっています
- 振り込んだら戻せません。多く払えば「返してください」と言うことになります
- 少なく払えば、信用を失います。一度で済まないこともあります
- 社会保険料と源泉所得税が連動します。1か所ずれると、ぜんぶずれます
だから、ここだけは自動化していません。私がやっているのは「検算」です。
実際に止めた話
ある月、給与ソフトに勤怠データを取り込んだあと、いつものように検算をかけました。
2人ぶん、金額がおかしいと出ました。
| ずれていた額 | |
|---|---|
| Aさん | 218,950円 |
| Bさん | 63,438円 |
合計で28万円以上。どちらも「多く払う」方向でした。
気づいたのは振り込む前です。そのまま出していたら、本人に返してもらうお願いをすることになっていました。
原因は、ソフトの挙動でした
欠勤があった月の話です。
欠勤控除は「1日あたりの金額 × 休んだ日数」で引くはずです。
ところが、勤怠データを取り込んだあと、日数にかかわらず「1日ぶん」しか引かれていませんでした。
つまり、何日休んでも1日ぶんの控除。その差額が、そのまま過払いになります。
同じことが通勤費でも起きます。日額で決めている人の通勤費が、日数ぶんではなく1日ぶんで入ってしまう。
画面を見ているだけでは気づきません。金額が入っているので、正常に見えます。
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です。この挙動は製品やバージョンによって異なります。
検算でやっていること
難しいことはしていません。「あるべき数字」と「ソフトに入っている数字」を突き合わせるだけです。
| 見ているもの | 確かめ方 |
|---|---|
| 欠勤控除 | 日額 × 休んだ日数 と一致するか |
| 通勤費 | 日額の人は 日額 × 出勤日数。定期代の人は月額どおりか |
| 残業時間と単価 | 勤怠の実績と合っているか |
| 手当 | 毎月決まっている人の額が、先月と同じか |
| 先月との差 | 全項目を並べて、大きく動いた人を出す |
最後の「先月との差」が、一番よく効きます。
給与は、普通は前の月と大きく変わりません。変わっているなら理由があるはずで、理由が説明できないものが異常です。
⛔ 決めているルール
- 検算で1件でもおかしいものが出たら、明細を出さない。全部解決してから
- 手で入れる項目は、毎月同じ場所にメモしておく。「今月だけの手当」を忘れるのが一番多い
- ソフトを触る前に、必ず控えを取る。「更新を反映」で全員ゼロになったことがあります
- 明細を配ったあとに金額を直したら、必ず出し直す。古い明細が残ると、本人から問い合わせが来ます
3番目は実際にやりました。ボタンを1つ押しただけで、全員の設定が初期化されました。控えがあったので戻せましたが、なければ一からやり直しです。
自動化していないこと
はっきり書いておきます。
- 振込の実行 — 絶対にやらせません
- 明細の配布 — 自分で確認してから
- 金額の修正 — 提案は受けますが、直すのは自分
やらせているのは「おかしいところを見つけること」だけです。
お金が動く操作はやらせないと決めているので、ここは例外なしです。
検算は、人がやってもいい。ただ続きません
これを人がやろうとすると、こうなります。
- 全員ぶん、全項目、先月と比べる
- 毎月やる
- 給与を締めてから振込日までの、短い期間にやる
できなくはありません。でも、忙しい月に飛ばします。そして飛ばした月に限って、何か起きます。
「毎月必ずやる」が成立するなら、それだけで価値があります。
まとめ
- 給与計算の検算で、2人ぶん・合計28万円以上の過払いを、支給前に止めました
- 原因は欠勤控除が「1日ぶん」しか引かれていなかったこと。通勤費でも同じことが起きます
- 🔴 画面では気づきません。金額が入っているので正常に見えます
- 一番効く確認は「先月との差」。理由が説明できない変化が異常です
- ⛔ 振込・明細配布・金額修正は自動化していません。やらせているのは「見つけること」だけ
- 検算で1件でもおかしいものが出たら、明細を出さないと決めています
- 給与ソフトを触る前に、必ず控えを取る。ボタン1つで全員初期化されたことがあります
羊社長は、給与だけは「速くする」より「止められる」方を選びました。
この記事は2026年時点の、私自身に実際に起きたことです。給与ソフトの挙動は製品やバージョンによって異なります。欠勤控除・通勤費・割増賃金の計算方法は、就業規則や労使協定、雇用形態によって変わります。実際の計算方法は、社会保険労務士または所轄の労働基準監督署にご確認ください。



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