羊社長です。年間1,000万円以上の会社の経費を、自分名義のカードで立て替えています。貯まったマイルは、当然ながら私個人のJMB口座に入ります。
これ、大丈夫なのか。一番聞かれるところです。
私は税理士ではないので断定はしません。ただ、国税庁の資料まで戻って調べたことと、自分がどこに気をつけているかは書けます。
経費精算で貯まったマイレージは、誰のものか
検索で来られる方が多いところなので、ここだけ先にまとめておきます。
| どういう形か | どう考えているか |
|---|---|
| 自分名義のカードで立て替えて、あとで精算する | マイルは個人のJMB口座に入ります。買うこと自体は問題になりません |
| 年会費を会社が払っている | ここで話が変わります。本文のとおり、一番気をつけるところです |
| 会社名義のカードで、マイルが個人に入る | ここが本丸です。線引きを本文で見てください |
私は年会費を会社に持たせていません。個人で払っておけば、この論点をそもそも作らずに済みます。年18万8,100円を個人で払うのは重いように見えますが、貯まるマイルで元は取れています。この1点を決めておくだけで、あとの説明がずっと楽になりました。
私は税理士ではないので断定はしません。ただ、国税庁の資料まで戻って調べたことと、自分がどこに気をつけているかは下に全部書いてあります。
先に結論
| 論点 | 私の整理 |
|---|---|
| 立替精算そのもの | 普通の処理です |
| Amazon・楽天を個人アカウントで買うこと | 消費税の控除も問題ありません |
| 私物と会社のものが混ざること | ここは運用で守る必要があります |
| マイルが個人に入ること | グレーです。ただし理屈は通ります |
| 🔴 カードの年会費を会社が払っている場合 | 話が変わります。自分の会計も確認しました |
最後の行が、この記事でいちばん書きたかったことです。
① 個人アカウントで買うこと自体は、問題ありません
Amazonも楽天も、私は個人アカウントで買っています。会社の備品も、そこで買っています。
「領収書の宛名が個人名だと経費にならないのでは」と心配される方がいますが、消費税の仕入税額控除については、問題ありません。
適格請求書には「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」=宛名が要ります。
ただし、小売業など「不特定かつ多数の者」に売る事業者は、適格簡易請求書でよいことになっていて、こちらには宛名が記載事項に入っていません(消費税法57条の4第2項)。
Amazonも楽天市場も小売です。だから宛名が個人名でも、そもそも宛名が要らないという整理になります。
必要なのは、登録番号(Tから始まる13桁)が入った領収書・請求書を残しておくことです。私は毎月まとめてダウンロードしています。
② 混ざることは、運用で守るしかありません
個人アカウントで買うと、私物と会社のものが同じ購入履歴に並びます。
ここは正直に書きますが、調べられたら一件ずつ説明することになります。「この4,980円は何ですか」と聞かれて答えられないものが並んでいたら、まずい。
私がやっているのは、これだけです。
- 毎月、Amazonと楽天から領収書を1件ずつPDFで落とす
- それをカードの利用明細と1円単位で突き合わせる
- 会社のものだけを仕訳に入れる。私物は入れない
面倒ですが、これをやっているから個人アカウントでも困っていません。逆に言えば、これをやらないなら法人アカウントに分けた方がいいです。
③ マイルが個人に入ること。ここが本丸です
国税庁の考え方から見ます。「個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」(タックスアンサー No.1907)です。
| ポイントの性質 | 扱い |
|---|---|
| 通常の商取引に伴って付く、値引きと同等のポイント | 課税なし。申告も不要 |
| 抽選キャンペーンなど、臨時・偶発的に得たポイント | 使ったときに一時所得 |
カードを使って貯まる通常のマイルは、前者です。これだけ見れば、何も起きません。
危ないと言われているのは、別の形です
実務でリスクが高いとされているのは、「法人カードで貯めたポイントを、社長が私的に使う」パターンです。会社のコストで生じた経済的利益を個人が受け取った、として役員給与の認定を受けうる、という整理になります。
私の形は、ここが違います。
| 危ないと言われる形 | 私の形 | |
|---|---|---|
| カードの名義 | 会社 | 個人 |
| カードの契約者 | 会社 | 個人 |
| マイルの付与先 | 会社のカードなのに個人 | 契約どおり本人 |
| 会社がすること | カード代金を払う | 役員借入金を返すだけ |
会社は、自分が払うべき金額を、立て替えてくれた人に返しているだけです。会社に損は出ていません。マイルは、カード会社と個人会員の契約に基づいて本人に付きます。理屈は通ります。
それでも、グレーだと思っています
否認する側の理屈も、ちゃんとあります。
「会社の経費という原資がなければ、そのマイルは発生しなかった」
これは、そのとおりです。年間1,000万円の決済は、私個人の買い物では絶対に出ない金額です。原資は会社で、口座は個人。このねじれがグレーの正体で、法人カードと個人カードのどちらで払うべきかにも書きました。
私はこれを、隠していません。隠すと、ただのグレーになります。
そもそも、いまさら「マイルは禁止」にはできません
ここは私の意見ですが、書いておきます。
クレジットカードは、もう日本中に出回っています。コンビニでも病院でも税金でも使えます。そのすべてにポイントが付きます。
この状態で「会社の支払いで貯まったポイントは所得です」と言い出したら、対象になるのは私のような人間だけではありません。 経費精算で自分のカードを使っている会社員、備品をネットで買っている個人事業主、全員です。
国税庁も、そこは分かっているように見えます。タックスアンサーNo.1907が作られて、「通常の商取引に伴う値引きと同等のポイントは、原則として申告不要」とわざわざ明示されたのは、一律に課税するのが現実的でないからだと私は読んでいます。
航空会社の側も、カードを使ってもらわないと成り立っていません
マイルは、航空会社が客へのおまけで配っているものだと思われがちです。逆です。
航空会社は、マイルをカード会社に「売って」います。 カード会員が買い物をすると、カード会社が航空会社からマイルを買って会員に付ける。この売上が、いまや本業に迫る規模になっています。
2020年6月、ユナイテッド航空はマイレージプラスを担保にして6,800億円規模の資金を借りました(38億ドルの社債+30億ドルのローン)。そのときに開示されたマイレージプラスの企業価値は219億ドル、日本円で3兆円を超えます。
内訳もこうです。2019年に売ったマイルは53億ドル。これは航空会社全体の売上の12%で、利益率は34%でした。
米国の大手5社で見ると、マイレージ事業の売上比率は2019年の12%から2022年には16%に上がっています。
飛行機を飛ばすより、マイルを売る方が利益率が高いのです。だから航空会社は、カードを使ってもらわないと困ります。
私のユナイテッドのマイルは334,650マイルありますが、飛んで貯めたものはほぼゼロです。全部カード経由です。航空会社にとって、私は「一度も乗っていないのにお金を落とし続けている客」です。いちばん歓迎される形の客でしょう。
つまり、入り口はもう開いています。 問題になるのは、そこから先の「やり方」の部分だけです。
だからこそ、次の話が効いてきます。
🔴 年会費を会社が払っていたら、話が変わります
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
自分の明細を見ていて気づきました。
2026/04/20 基本カード年会費 75,000円
2026/04/20 消費税 7,500円
合計 82,500円
マリオットボンヴォイ アメックス プレミアムの年会費です。
これを会社の経費にしていると、上で書いた理屈が崩れます。
「カードは個人名義で、個人が契約していて、個人が費用を負担している。だからマイルが個人に付くのは当たり前」——これが理屈でした。
年会費を会社が負担していると、「会社がコストを払って、個人がマイルを得ている」という形になります。役員給与(経済的利益)を主張されたときに、反論の足場がなくなります。
金額も82,500円あります。小さくありません。
対処はどちらかです。
- 年会費は個人で負担する。会社の経費に入れない。これが一番きれいです
- 会社が負担するなら、その分を役員報酬として処理できないかを税理士に相談する
自分の会計を開いて、確認しました
書きながら自分の会計ソフトを開きました。年会費で検索して、10秒で見つかりました。
まず、アメックスの明細はこうなっています。
2026/04/20 基本カード年会費 75,000円
2026/04/20 消費税 7,500円
合計 82,500円
年会費の本体が75,000円、その消費税が7,500円。2行に分かれています。
これが、会計ソフトではこうなっていました。
仕訳No.229 借 諸会費 68,182円 借 仮払消費税 6,818円 = 75,000円(課対仕入・10%・適格請求書) 貸 役員借入金 75,000円(マリオットカード) 摘要「基本カード年会費」 仕訳No.227 借 租税公課 7,500円(対象外) 貸 役員借入金 7,500円(マリオットカード) 摘要「消費税」
⚠️ 自動仕訳が苦手とする形でした
見つけてすぐ、これは年会費だけの話ではないと分かりました。同じ構造の取引が、ほかにもあるはずだからです。
何が起きていたか、順に書きます。
- アメックスの75,000円は税抜の本体で、消費税は別行の7,500円です
- ところが自動仕訳は、75,000円を「税込」として扱い、中から6,818円を消費税として抜きました
- そして別行の7,500円を「租税公課」——税金を払ったもの——として計上しました
正しくは、本体75,000円+消費税7,500円。控除できる消費税は7,500円です。
カード明細から自動で仕訳を作っているからです。
「年会費 75,000円」と「消費税 7,500円」が、別々の取引として流れてきます。 前者を税込の経費として処理し、後者を「消費税という名前の支払い」として租税公課に入れる。1行だけ見れば、どちらも自然な判断です。
カード明細を自動で取り込んでいる方は、一度「年会費」で検索してみてください。本体と消費税が2行に分かれているカードは、アメックス以外にもあります。
これが、自分で帳簿を見る意味だと思っています。機械は仕訳を作りますが、「この2行はもともと1つの取引だ」とは教えてくれません。明細を毎月見ているから、検索1回で出てきました。
期中に見つかったので、そのまま直します
年会費が個人のものなら、会社は何も計上しないのが正解です。費用も立たないし、会社が返す義務(役員借入金)も発生しません。2本ともまるごと取り消します。
| 取り消すと | |
|---|---|
| 諸会費 | −68,182円 |
| 租税公課 | −7,500円 |
| 費用が減る=利益が増える | 75,682円 |
| 仮払消費税(控除できる額が減る) | −6,818円 |
| 役員借入金/マリオットカード | −82,500円 |
会社の利益は75,682円増えます。法人税で2万円ちょっとです。それで、1,000万円ぶんのマイルの説明がきれいになるなら、安いと思いました。
決算はまだ先なので、期の途中で直せます。ここが大事なところで、申告前に気づけば、ただの修正です。
消す前に、復元用のインポートファイルを書き出してください。会計ソフトの削除は戻せません。
私は削除前の全項目をJSONで控え、そのまま取り込めば元に戻るインポートファイルを作ってから実行しています。これをやっておけば、間違えてもすぐ戻せます。
ついでに言うと、年会費を会社に持たせる必要はありません
マリオットアメックス プレミアムの年会費82,500円は、無料宿泊特典だけで元が取れます。私は今年、コートヤード白馬に2泊しました。
個人で払っても、個人が得をしています。会社に持たせる理由が、そもそも薄いのです。
私がやっていること
- カードはすべて個人名義・個人契約にする
- 会社の経費を立て替えたら、役員借入金として記録する
- 領収書は1件ずつ残して、明細と1円単位で突き合わせる
- 私物は絶対に混ぜない
- 役員借入金は貯めっぱなしにせず、ときどき返してもらう(貯めると相続で困ります)
- 年会費は個人で持つ
6番目が、今日追加された項目です。
※【広告】立替のぶんを役員借入金で受ける形は、クラウド会計なら科目を作るだけです(クラウド型会計ソフト マネーフォワード クラウド会計)。
線引きが分かったら、次は実際に何を寄せるかです。全部出したのが会社の経費をカードに寄せる全手順に書きました。
まとめ
- 立替精算そのものは普通の処理です。中小企業では当たり前にやられています
- Amazon・楽天は小売業=適格簡易請求書なので、宛名がなくても仕入税額控除は取れます
- ただし私物と混ざるので、領収書を1件ずつ突き合わせる運用が要ります
- 通常のカード利用で貯まるマイルは、国税庁の整理では「値引きと同等=課税なし」です
- 危ないと言われるのは「法人カードのポイントを私的利用」。個人名義カードの立替とは形が違います
- ただし「原資は会社、口座は個人」というねじれは残ります。グレーです
- 航空会社にとってマイルは売上の12〜16%を稼ぐ事業です(ユナイテッドは2019年に53億ドルぶん販売・利益率34%)。カードを使ってもらわないと成り立ちません
- 🔴 年会費を会社が払っていると、その理屈が崩れます。個人で持つのが安全です
- 🔴 自分の会計も「年会費」で検索して確認しました。アメックスは本体と消費税が2行に分かれるため、自動仕訳だと本体を税込扱いして内税を抜き、別行の消費税を租税公課に入れてしまいます。期中に見つけて修正済み。カード明細を自動取込している方は、一度検索してみてください
羊社長は、自分の明細を見るまで年会費のことを考えていませんでした。人に説明できる形にしておくのが、結局いちばん楽です。
この記事は、一般的な考え方の整理です。実際の判断は必ず顧問の税理士にご確認ください。私は税理士ではありませんし、税務の取扱いは個々の事情によって変わります。特に年会費の件は、聞けばその場で答えてもらえる論点です。ご自分の処理がどうなっているか、一度確認されることをおすすめします。なお、本文で触れた制度・取扱いは2026年9月時点のものです。



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